何かデビッド・リー・ロスに似てるね、、、(値札が、、、100円!)
「夢をかなえるのは無理だ」なんてバカげた話
オレ達みたいにヤセっぽっちの5人の男に出来た
ことなら誰にだってできる

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 取材にハプニングはつきものである。しかも、スキッド・ロウである。「何も起こらない方がおか
しいや」と覚悟はしていても、いざ、何かが起こると・・・「ほうらやっぱりね」と期待通り(?)の展開
に嬉しいような心配なような、実に絶妙な気持ちになるものだ。
 とにもかくにもいろいろとあって、バズとのインタビューは、ホテルからコンサート会場である大阪
城ホールへ向かうバンの中で行われたのであった。長い身体を折り曲げるようにしてバンに乗り込
んできたバズは、すでにお気に入りアイテムになっている、ファンからプレゼントされたキッスのGジャン
を着ている。「すっげえクールだろ!?」とガバっと背中を見せてくれた。
 バズにはこれまで何度か会ってはいるものの、面と向かってインタビューするのは初めてだった。
聞きたい事は山ほどあるが、特に今回は、”ハイパー・バズ””ラウド・バズ”にも意外な一面があるかも
しれない・・・ないかもしれないけど・・・などと様々なシチュエーションを思い浮かべながら、あのバズに聞く
のはどうか、と思われるような質問もしてみよう、と決意も新たに望んだのだった。

−三度目の来日公演ですが、楽しんでますか?
セバスチャン/ 二度目といっていいだろうね。もう、とにかく最高だぜ。
日本はイギリスと同じで、ファンとバンドが凄くいい関係なんだ。両想いの
恋人同志みたいにね。どこへ行ってもファンがいて、プレゼントやら
手紙やらをくれるんだ。今日も朝ご飯を食べに(時間的にはお昼ご飯と
言った方がいいが、彼にとっては朝ご飯)ファミリー・レストランに行ったんだけど、
そこにもファンがいたんだぜ!「どうしてオレがココにいるのがわかるんだよぉ」って
感じさ。口先だけじゃなくて、本当に最高さ。ファン攻めは精神にさわるって言うヤツ
もいるみたいだけど、オレは好きなんだ。
−でもホテルの部屋に缶詰になっていると、フラストレーションもたまるでしょう?
セバスチャン/ 全然。オレ、脱出得意だもん。
−部屋にいる時は何をしているんですか?
セバスチャン/ 1人でやってる。ハハハッ!リラックスして音楽聴いて、
酒飲んで・・・、普通の人と同じさ。別にロウソク立てて、悪魔の儀式をやってる
わけじゃないぜ。それなりに楽しんでるよ
−今朝は3時頃にマネージャーのスコットの部屋に
 電話をかけたそうですね。
セバスチャン/ そう!そう!(笑)ステージのバックドロップ(ステージ奥に張られる幕)
に関するアイデアが浮かんだからさ。アルバムのアート・ワークをそのまま使って、
200フィート(約60CM)×300フィート(約90CM)の大きさで作るんだ。
来年また日本に来る時には持ってこれるだろうね。誰にも「あれはできない、
これはできない」なんて言わせねぇぜ!次の時は絶対さ!だってこのツアーは
日本で終えようと思っているんだからさ。
−それは楽しみですね。さて、今回のツアーですが、
 私も横浜、東京、そして大阪とライブを観ましたが・・・。
セバスチャン/ エキサイトしてくれた?
−もちろんです。特に東京での2回目のショウは凄かったですね。
 あなたもステージ上で「マジックが起こっている!」って叫んでましたよね。
セバスチャン 本当にそう感じたんだ!空気にマジックを感じたんだよ!
滅多にある事じゃないんだぜ。すばらしい夜だったよ。昨日もよかったし・・・。
ナゴヤがなぁ〜クソ〜、まっ、いいや。
プレイすればするだけ上達はするもんだしな。
うぉ〜りゃ〜!(子供達の声:修行が足らんねっ)

おっちゃん、オレ知ってる?

−ブルー・オイスター・カルトの”ゴジラ”をプレイした日もありますね。
セバスチャン/ オレが選んだんだよ。気に入ってくれた?すげぇ、ヘヴィな曲だろ!
−ええ、でも、日本のファンは若いから・・・。
セバスチャン/ だろ?みんな聴いたことなかっただろうな。でも、オレ達か聴いて
育った曲や、オレ達のインスピレーションの素になっている曲をファンにも知って
もらえばいいと思ってね。
−キッスの”激しい愛を/C’mon And Love Me”もそうですね。
 こういったカヴァー曲を集めて来春ミニ・アルバムをリリースする
 という話を聞きましたが。
セバスチャン/ 確かにその話はあるけど、まだ時期がはっきりしてないんだ。
でも4曲はレコーディングし終わってるよ。ジミ・ヘンドリックスの”リトル・ウィング”
(’67年の「ボウルド・アズ・ラブ/Axis Bold As Love」収録)、ラッシュの
”What Your Doing”(’74年のデビュー作「閃光のラッシュ/Rush」収録)、
キッスの”激しい愛を”、それにラモ−ンズの”サイコ・セラピー”さ。
2日でレコーディングしちゃったんだ。オレ達はレコーディングに長時間をかけるなんて、
ちっともいいことなんて思ってないからね。
−ところで今回のステージ上であなたは「スキッド・ロウはヘヴィ・メタル・バンドだ」
 とファンに向かって言ってますが、最近では、オジー・オスボーンや
 メタリカ、モトリー・クルーのメンバーが「俺達はへヴィ・メタルじゃない」と
 公言している中であなたがへヴィ・メタルにこだわる理由は何なのでしょう?
セバスチャン/ スキッド・ロウは100%へヴィ・メタルだよ。間違いなくね。オレはへヴィ・メタルを
愛してるし、へヴィ・メタルに誇りを感じているんだ。根性がなきゃへヴィ・メタルなんて出来ない
からね。この音楽に浸っていること、こんな人生を送っていること、こんな姿をしていること、
へヴィ・メタルが好きで、へヴィ・メタルバンドにいるってことは、必然的に自分の立場ってものを
世間に知らしめていることなんだ。基本的には世間全般に対して「バカヤロウ、なめんぢゃねぇ!」
って言ってるわけさ。すっげぇ愉快なことだろ。メタリカもオジ−もモトリ−も、オレにとっちゃ
3大好きなバンドだよ・・・おっと、オジ−はバンドじゃないか。バンドを持っているのか・・・(笑)。
とにかくオレ達はへヴィ・メタル・バンドだ。少なくともオレはそう思ってる。
−デビューして2年余りも経てば、バンドのメンバー間でもお互いのことを
 良く理解できるようになってると思うのですが・・・。
セバスチャン/ ま、ね(笑)。本当のこと知りたい?実は全く理解なんかしてないんだ(笑)。
これが真実さ。だからこそテンションを保てるんだよ。もし、みんなが同じような性格で、
同じようなことをやって、同じような趣味を持ち、お互いを充分に理解しちゃったら、それこそ
退屈だよ。
−ここで良い関係を保つ秘訣を教えてもらおうと思ったんですけどね(苦笑)。
セバスチャン/ いい関係なんて保つ必要はないんだ。オレ達の音楽に大切なのは、テンション
(緊張感)とアグレッション(攻撃性)、このふたつだよ。昨日なんかレイチェルが”サイコ・セラピー”
を歌っている間、このオレがマイクのチェックをしてたんだぜ。あいつひどく興奮状態だったから、
マイクをぶち壊しやがってさ。でもそういった興奮状態があったからこそ、オレが再びステージに
出て行った時には、10倍いいプレイができたんだ。お互い頭に来てたからテンションも高くなる。
どんなバンドにもそういったテンションはあるはずなんだ。もしなかったら・・・そうだなぁ・・・ネルソンに
なるっきゃないって!(笑)あいつらきっと仲良しこよししてるんだろうな、
だからオレは気に食わないのかもね。
 ヤツらはへヴィ・メタル・バンドを装っているだけだと思うし、うわべの装飾だけでハード・
ロックのように振る舞ってるだけさ。でもレコードを聴けば、パートリッジ・ファミリー(’60年代に活躍した
ポップス・グループ)に毛がはえたようなもんだろ?うざんくせぇよ。オレはへヴィもへヴィ、本当に
へヴィなものが好きだから、モトリー・オジー・ガンズ・モーターヘッドやラモ−ンズが好きなんだ。
−ヨーロッパでブラック・クロウズのショウにも飛び入りしたんですってね?
セバスチャン/ ええっ、誰に聞いたの?
−(笑)ロンドンからニュースで伝わって来たんですけど・・・。
 で、例えば彼らをへヴィ・メタルだとは思わないでしょう?
セバスチャン/ まさか!へヴィだなんて全く思わないよ。でもエネルギーとエモーションに溢れているだろ。
オレはへヴィ・メタルをプレイしているけど、へヴィ・メタルに限らずそういうものを備えている音楽は好きだ
ってことさ。ドアーズなんてあきらかにへヴィ・メタルではないけど、ジム・モリソンがステージに登場した時には
エネルギーや熱を発散させただろ?それがオレの好きなもの!エネルギーがヒシヒシと感じられるもの
・・・そう、エネルギーだよ、大切なのは!ジミ・ヘンドリックスはへヴィ・メタルじゃなかったけど、すごい
エネルギーに溢れているよね・・・いた、か(笑)。何であれエネルギーのあるものならいいよ。例えば、
ハノイ・ロックスだってへヴィ・メタルバンドだとは思われてないけど、それでもエネルギーを発散させ、
堂々としている・・・していた、か(笑)。そのエネルギーは充分伝わってくるし、それがオレの好きな
フィーリングなんだ。うん、それだな(と自分で納得する)。
in大阪城(♪後ろの青年だ〜ぁれ?)
バズが’77年にKISSが訪問した金閣寺に行きたいって駄々こねたんだって!
−アルバムは全米ナンバー1になり、ツアーも好調ですがそういった
 ビジネス的な意味での成功は、あなたに新しい問題を持ちかけたりはしないのですか?
セバスチャン/ まず・・・、オレにとってチャートなんてどうでもいいことなんだ。今週は28位だけど
(チェックは欠かさないバズ)、1位の時と気分は変わらないよ。表面的なことに過ぎないのさ。
ただ、有名人だってことが多くの問題をもたらしているのは事実だよ。金魚鉢の中にいるような、
どこからでも誰かに見られているような生活にはうんざりしている。ボディガードをつけなきゃならないし、
朝起きてチキン・サンドが食べたいと思っても、有名であるが為に行動が制限されて食べられなかったり
・・・そういうことにはメチャクチャ悩まされる時があるよ。でも、だからってオレ自身が態度を変えるなんて
ことはないな。なんたってオレは以前と変わらず”くそったれ野郎”なんだからね(笑)。
−あなた個人に人生哲学はありますか?
セバスチャン/ 人生哲学?おいおい、頼むよぉ〜(とあきれた風に笑う)。・・・こんなの、どう?
「Get Drunk,Get F●●ked」これがオレの人生哲学さ。いいだろ?キミを怒らせるつもりなないけど、
こういう質問はオレにはムダだよ。だってさぁ、オレは人生に対して哲学を持つような人間じゃないもん。
オレはロック・バンドのシンガーであって、ブッダ(仏陀)じゃないんだからさ。
ふ〜む、困った、人生哲学ねぇ・・・。
−「人生哲学を持たない」というのはどうですか?
セバスチャン/ うん、そんなとこだな。「オレには人生哲学なんてない」と言おう!
−ところで”スレイブ・トゥ・ザ・グラインド”のビデオを観ましたけど、
 あのビデオにコンセプトはあるのですか?
セバスチャン/ ないよ。観た通りバンドがプレイしてるだけさ。
曲に関してはもちろんコンセプトがあったけどね。
音楽業界がオレ達をポップ・メタル・バンドに仕立てようとしていることを題材にしたものだよ。
オレ達の格好から何から、実際とは違うものをむりやり押し付けようとしていることを歌ったんだ。
”スレイブ〜”や”モンキー・ビジネス”を聴いて、「なんたることだ!こんなものはへヴィ過ぎる。
とてもリリースできたもんじゃない!」なんてぬかしやがるからね。ふざけんじゃねえよ!
ビジネス・スーツに身を固めたあいつらに、いったい何が分かるってんだ?もそ、そんなにロックン
・ロールのことが分かってるんなら、テメーらでバンドを組んでやってみろって言うんだ!
へっ!自分のバンドでオレ達を抜いてみろ!どうせオレ達は何も分かっちゃいないさ。
でもそれでもうまくいけば、ざまあみやがれってことさ。オレたちは音楽業界の言いなりにはならないぜ。
デスモンド・チャイルドのように同じような曲を繰り返し、繰り返し出してくるのなんて耐えられないよ。
オレはもっと音楽の持つエネルギーを大切にしたいんだ。きまりごとじゃんくてね。
そしてオレ達のファンに感じてもらいたいのは、「夢を叶えるのは無理だ」なんていうのはバカげた話で、
オレ達みたいなやせっぽっちの5人の男に出来たことなは誰にだって出来るってことなんだ。
 すべてが合法化されてるよね。みんな学校へ行き、卒業して職を得て、結婚してステーション・ワゴンを
買って、一生働いて安定した生活を送る・・・ジョージ・ブッシュがすべてをぶち壊すまではね(笑)。
そんな人生でおもしろい?オレは色んなものが見たい。キョウトが見たい、日本が見たい、ドイツが見たい、
世界中が見たい、そして何でもやりたいんだ。自分の人生は生きたいように生きるさ。
−きっとあなた達のファンはあなたのそういうアティテュードに共感して、
 あなたたちのことを仲間だと思っているんですね。
セバスチャン/ うん!もちろんさ。ファンの為に出来ることは何でもしているつもりさ。
オレはロックン・ロールの精神を信じているし、ロックン・ロールがもたらす言い因縁も信じてるよ。
オレが13歳の時、もしヒーローに会えて、そいつがイヤな野郎だった自殺しちゃったかもしれないな、って
思うんだ(笑)。オレはオレのロックン・ロール精神を示す為にファンには出来る限りのことをしているんだよ。
この後、警備員さんにオコラレタとか、、(^m^)
−そう言えば、あなたが父親であることを知ったファンのみんなは、あなたの正直さに喜び、
 日本にもぜひパリス君を連れて来てと言っている子もいるんですよ。
セバスチャン/ 喜んでくれているのは嬉しいね。彼を日本に連れて来ることは・・・そうだね、いつかはあるかも
しれないけど、基本的にオレは彼を利用したくないんだ。オレは人には人の人生があると思っているし、
オレの親父もオレに向かって「アーティストになれ」なんて決して言ったわけじゃない。何になれとも言ったわけ
じゃないけど、それにすごく感謝してるんだ。だからオレもオレの息子が会計士とか医者になりたければ、なれば
いいと思っているんだ。ロック・スターになれと強制するつもりは全くないし、だからこそ彼を利用するつもりはないんだ。
どこかに連れて行って写真を撮らせるなんてバカらしいしね。彼は彼の人生を生きているのであって、
それはオレの人生じゃない。親だからって、親の世界に子供を引きずり込もうなんて思うのは随分身勝手なこと
だと思う。ただ、モトリー・クルーが彼のそばに来たら、クローゼットにしまっちゃうけどね。アハハハッ!ジョークだよ!
−来年一月からはアメリカでヘッド・ライナー・ツアーも
 スタートするそうですが、オープニング・アクトはもう決まったんですか?
セバスチャン/ オレとしてはマイケル・モンローとスティーブ・スティーヴンスを一緒に連れて行きたいんだ。
彼らは今、一緒にやってるからね。たぶんかなりの議論を重ねることになると思うけど、とにかくオレ達をぶッ飛ばして
くれるようないいバンドじゃなじゃダメだよ。退屈なつまんねえバンドじゃイヤだ。そいつがステージに出て行ったら、
「こりゃ負けそうだぜ」って思わせてくれなくちゃ。マイケル・モンロー・・・もし彼が俺達のオープニングになったら、
尻に火をつけられた気分になるだろうな(笑)。そういう基準でオープニングは選ぶことになると思うよ。
−日本ではこれから広島や福岡など、これまでプレイしたことのない街にも行きますが、
 たくさんのファンが楽しみにしていますよ。
セバスチャン/ うん!はじめて行く所だからすっごく楽しみなんだ。ヒロシマには特に早く行ってみたいね。
戦争のこととか・・・言いたいことは色々あると思うし・・・。
−明日は京都観光にも出かけるんですって?
セバスチャン/ そうなんだ!すごく興味があるんだよ。ツアーを始めた頃っていうのは、ショウで燃焼し切って
観光したりできる状態じゃなかったけど、最近では少し余裕が出来たからさ。美しい外国の土地で、自分の国と
異なった色々なものをできるだけ見たいと思っているよ。明日はキョウトで日本の古い伝統的な部分に触れたいね。
キミが信じるかどうかは分からないけど(笑)、オレ達はすごくそういうものに興味を持ってるんだ。
銀閣寺を見て「Cool!」金閣寺を見て「F●●kin’Cool!」を連発!やっぱしバズ!
1991ML12月号より