-まず、初のベスト・アルバム「ザ・グレイテスト・ヒッツ」を出す事になったきっかけを教えて下さい。 ロビン:あ、それはベスト・アルバムの事だね。僕達にはそんなに沢山のヒット曲はないからさ(笑)。 このアルバムは、ベスト・オブ・チープ・トリックなんだよ。元々はレコード会社の企画なんだけど、 本当に出すと決まってからは、彼らの勝手にされるよりは、自分達の納得の行く物を出したいと思って、 メンバー皆で集まって曲のリストを作ったんだ。で、レコード会社でも同じ様にリストを作って、後で照らし合わせて、 まぁ、お互いの妥協点を見つけてリリースに至ったというわけなんだ。 −どちらの意見がより強く反映されているのですか? ロビン:俺達のリストも彼らのリストもとても良く似ていて、まぁ、2〜3曲異なっていたかなという位。で、 俺達の2曲と彼らの1曲を取ったって言う感じかな(笑)。 −では、内容的には満足しているんですね? ロビン:うん。でも、日本盤の方がずっと気に入っているけれどね。 −2枚組だから? ロビン:そう。アメリカのマーケットでは2枚組は無理だって言われたんだけど、ファンにとっては より多くの曲が入っている方が得だろうからね。 −それぞれの曲に思い入れがあると思いますが、中でも特に思い入れの強い曲は? ロビン:次のアルバムに入る曲だよ。 −、、、では、ベスト・アルバムの中では? ロビン:ああ、ベスト・アルバムの中でね(笑)。う〜〜ん、あまりにも多過ぎて答えられないよ。 このアルバムに収録されなかった曲の中にも大好きなものがあるし。この質問は難しいね。 −では、収録したかったのに、漏れてしまった曲は? ロビン:ファースト・アルバムに入っている”マンドセロ”と、”ゴナ・レイズ・ヘル”。・・・あれ、日本盤には 入ってたっけ?(ハイ、”ゴナ・レイズ・ヘル”は入ってます) −やはり”思い出の1曲”は言えませんか?例えば、初めて全米bPになった”永遠の愛の炎/The Frame” はどうですか? ロビン:あの曲は僕のお気に入りの”チープ・トリック・ソング”ではないんだ。勿論、沢山の人々があの曲を 気に入ってくれたという事実は嬉しい事だけどね。 −グループ結成以来18年という歳月が流れましたが、その中で一番嬉しかった事と・・・ ロビン:君とこうして電話で話している事だね。 −あれ、お父さんになった事ではないんですか?確か息子さんがいらっしゃいましたよね? ロビン:うん。あと10歳になる娘もいるよ。この間、彼女はなんと初めて曲を書いたんだけど、これが素晴らしい 曲なんだ!今度レコーディングしてみよう思ってね。彼女には凄い才能があると思うんだ。 −それで彼女が歌も歌うんですか? ロビン:そうさ。彼女の声はとても美しくてね。今度聴いてみてくれよ。 −その曲をリリースするんですか? ロビン:それはちょっと判らないけれど・・・。でも「ミュージック・ライフ」にテープを送るから、聴いてみてくれる? −ええ、楽しみにしています(笑)。で、話を元に戻しましょう。この18年間で一番嬉しかった事は何ですか? ロビン:18年間バンドを続けてこられたって事だよ。何か一つ取り上げるのは難しい・・・。でも、初めて ”甘い罠/I Want To You To Love Me”のシングルでゴールド・ディスクを獲得した日はとても嬉しかったけどね。 −当然、辛かった事もあったと思いますが。 ロビン:勿論、沢山あるよ。トム(ピーターソン)がバンドを脱退した時(’80年)は本当に落ち込んでしまった。彼が また戻って来てくれたのは(’88年)本当に喜ばしい事だったし、まぁ、色々あるさ。ミュージック・ビジネスというのは、 時々人をひどく傷つけるものだからね。一体どうしてこんな事をしているのだろうと思わせられる時もあるけど、 僕は音楽を愛してるいし、このバンドが大好きだし、ずっと続けたいと思っているんだ。お互い飽きが来てもう顔も 見たくなくなったら・・・。そうだ、君にメンバーになってもらって、曲も書いてもらおう。OK? −はい、はい(笑)。デビュー以来、大きなターニング・ポイントとなったのは? ロビン:トムが脱退した事と戻ってきた事もそうかもしれないし、まぁ、色々だよ。音楽的には、アルバムの成功がそれを示して いると思う。例えば、「チープ・トリック at武道館/AT Budokan」とかね。そもそも、初めてレコード契約を取った事が ターニング・ポイントといえると思うし、「ドリーム・ポリス」だって「ザ・ドクター」だってターニング・ポイントさ。それに、ナンバー・ ワン・シングルになったから”永遠の炎”だってそうだしね。ターニング・ポイントは今まで何回もあったよ。 |
−20年近くもチープ・トリックが続いてきた理由、秘訣は何だと思いますか? ロビン:音楽的接点=音楽的絆、それしかない。 −友情は? ロビン:それは違うね。勿論、お互いの事を親戚の人達よりも良く知っているけれど、 一緒に住んでいるわけじゃないし、それぞれに自分の人生があるしね。僕達は、 多くの時間を共に仕事をして過ごし、一緒に出かける事もあれば、大ゲンカする事もあるし、 勿論、皆良い友達さ。でも、一緒にグレイトな曲を作るという事が何よりも大切なんだよ。 −あなた自身がチープ・トリックのメンバーの一員として 心がけている事、努力している事はありますか? ロビン:勿論、今までのキャリアの中で、僕は常に自分の役割をきちんと務めるようベストを 尽くしてきた。まだまだ先は長いけれど・・・、僕は、今までの自分と自分のやってきた事を 誇りに思っている。僕はまだグループの中で、クリエイティブな面を担える存在だと思うしね。 僕は、何かに携わっているのに、自分の力を100%出し切ろうとしない人には我慢できないんだ。 100%力を出すのが義務だよ。そうでなければ時間の無駄さ。 −あなたは、いつでも100%の力を出してきたんですね。 ロビン:自分の能力の限りを尽くしてきたと思っている。 バンドの他のメンバーにしたってそうさ。お互いに信頼し合えるのはそこなんだよ。 |
−あなた個人としては、これまでの18年時間はそんな歳月でしたか? ロビン:良い事もあれば、悪い事もあったし。今振り返って、あの時はああすべきだった、こうすれば良かったというのは簡単 だよね。’80年代半ばにレコード会社を移籍するべきだったとか、あの時トムは脱退するべきではなかったとか・・・、いや、 脱退して良かったのかもしれないし・・・。でも、総てが時間と空間の流れの中で起きた事で、その時々意味をなしてない事 なんだ。だから、みんなこれで良かったと思っているよ。自分が誰なのか人が知っているというのはいい気分だし、多くの人が、 チープ・トリックを理解し、敬意を払ってくれている。でも、正直言って、もう僕はほんのわずかな敬意にしか値しない存在なんじゃ ないかとも思ったりする事があるんだ・・・。 −敬意とは、あなたたちの成し遂げた事に対する敬意ですよね? ロビン:いや、僕の服装とか、ヘアー・スタイルとか(笑)。僕達の外見って、とってもハンサムだと思うんだけどなぁ。 それも、歳を取るごとにさ。 −ええ。 ロビン:ええ、だって?(笑) −本当です。あなたって、とってもビューティフルだと思いますよ! ロビン:ホント??(笑) −とにかく、今までやってきた事にとても満足しているんですね? ロビン:うん、何も後悔はしていないよ。僕達は中身のあるいい音楽を作ってきたと思う。ポジティブなパワーのある、 人々に悩み事を忘れてもらうような音楽をね。 −あなたの目から見てリック(・ニールセン)、バーニー(・カルロス)、トムの3人はこの18年間で変わりましたか? ロビン:チープ・トリックとしては同じ経験をしてきているし、音楽的な絆はさっきも言った様に変わっていない。 僕達はプロなんだ。まっ、バニーの髪の毛は少し減ったけれどね(笑)。みんな”変わった”と言うより、それぞれやるべき事に 於いて”成長した”と言えるんじゃないかな。 −あなた自身は? ロビン:僕も彼らと同様”成長した”と願っているよ。背も高くなったし、胸毛も生えたし・・・、本当さ!(笑)。 −人生哲学などの変化などはありますか?人生哲学があれば・・・の話ですけど・・・。 ロビン:人生哲学?ないね(笑)。個人的なこともキャリアも人生を形作っている要素だし、離婚や子供の事など、 総てが総てに影響を及ぼすものなんだ。でも、どんな状況でも、自分と自分の周囲の人を幸せにする様に努力するのが、 人間だろ?そして、精一杯やる意やるべき事をやるんだ。自分自身を好きでなければ駄目だよね。とにかく、生きて 行かなければならないんだ。倒れても起き上がる事が大切だよ。 −現在も全米ツアー中だと聞きましたが。 ロビン:いや、もう終わったんだ。「バステッド」が出てからずっとツアーしていたんだよ。この1年はアメリカのありとあらゆる 都市をツアーして回り、とても成功した。今は新作に向けての曲作りを始めたばかりなんだ。クリスマスまでに準備しないとね。 来年の1月〜2月にはスタジオに入ってレコーディングを始めたいんだ。来年の春にはリリースしたいからさ。君たちの為にね! −曲作りを始めたという事ですが、娘さんの曲を使うつもりじゃないんですか?(笑) ロビン:実は、他のメンバーを引っ掛けようかと思っているんだ。何も言わずに彼女の曲を聴かせて彼らが気に入ってくれたら、 娘が書いたとバラそうと思ってね。どう、いい考えだろ?(笑) −今まで出最高の曲と言われるかも(笑)。 ロビン:そんな事になったら、まるで立場ないよ(笑)。それより、日本のファンの為だけにプレイするのがいいかも。 日本の人達からは、身に余るほどの敬意を払ってもらっているからね。 -デビューした当時と今では、あなたたち自身のツアーに対する考え方、 ツアー中の過ごし方等も随分違ってきているでしょうね。 ロビン:う〜ん、ツアーは好きだよ。好きじゃないとやっていけないし、もう慣れたと言うか・・・。 −長くツアーに出ていると、イライラしたり、退屈したりしませんか? ロビン:まぁね、でも仕方ないし・・・。 −やはり歳も取ってきているわけですし・・・、 ロビン:Oh,thank you very little!(笑) −心身共に疲れません? ロビン:僕に限ってそういう事はない!(笑) −ところで、新作について、プロデューサー等何か決まっている事があったら教えて下さい。 ロビン:う〜ん、(プロデューサーは)トムでもいいし、ジョージ・マーティンでもいいし、ジャック・ダグラス(俳優)でもいいし(笑) 君でもいいし ・・・。(要は何も決まっていないらしい) −では最後に、日本のファンにメッセージを。 ロビン:チープ・トリックと日本の間には特別な関係がある。ニュー・アルバムが出たら、いつもの様に日本からツアーを 始めたいと思っているんだ。どうか日本の人達に嫌がられません様に。いつまでも、付き纏うつもりだからね!(笑) |